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「間違えそうになると、すぐにやめてしまう」「負けそうな遊びはしたがらない」「失敗したあとに泣いたり怒ったりして、こちらもどう声をかければいいかわからない」。6歳ごろは、できることが増える一方で、周りとの違いや勝ち負けにも気づきやすくなる時期です。
毎日の支度や遊びのなかで気を張り、「励ましたつもりなのに余計に嫌がらせたかも」と疲れる保護者の方もいるでしょう。失敗を怖がる姿は、怠けやわがままと決めつけるものではありません。うまくやりたい気持ち、恥ずかしさ、不安、悔しさなどが重なっている場合があります。
絵本は「失敗しないようにする本」ではなく、登場人物の気持ちを通して、失敗や不安を少し離れたところから眺める時間をつくる道具の一つです。答えを急がず、親子で読める一冊を選びましょう。
6歳の「失敗したくない」を絵本で扱うときの考え方
6歳では、ルールのある遊びや就学前後の活動を通じて、「できた・できない」「勝った・負けた」を意識する場面が増えます。ただし、失敗への反応には個人差があります。まずは「怖かったね」「本当はやってみたかったのかな」と、行動の奥の気持ちを想像するところから始めます。
心理の観点では、絵本の登場人物に自分を重ねたり、「自分だけではない」と感じたりする時間が考えられます。発達支援の観点では、気持ちを言葉や絵で表すきっかけとして使えます。教育の観点では、結果だけでなく試した過程に目を向ける会話につなげやすいでしょう。保育の観点では、読み聞かせ後に無理な発表を求めず、安心して参加できる雰囲気を整えることが大切です。
読後に感想を言えなくても問題ありません。「今日はここまで」「この絵、気になるね」だけで終えても、読む経験は残ります。
失敗を怖がる子に合う絵本の選び方
選ぶ際は、「失敗を乗り越える」結末だけを重視しすぎないことがポイントです。今の子どもに合う入口を探しましょう。
- 挑戦する主人公の物語
小さな一歩を踏み出す姿に親しみやすい子に向きます。ただし、「あなたも強くなろう」と結びつけない読み方が大切です。
- 勝ち負けを扱う物語
かけっこ、ゲーム、集団遊びなどで負けることを嫌がる場合に選択肢になります。勝敗以外の楽しさにも目を向けやすくなります。
- 気持ちを見える形にする絵本
「怖い」「悔しい」を言葉にしにくい子には、感情を色や形、自然の様子で表した本が入りやすいことがあります。
- 形式も確認する
紙の本を一緒にめくるほうが落ち着く子もいれば、Kindle版を短時間だけ読むほうが取り組みやすい子もいます。端末で読む場合は、購入前に立ち読みや表示の見やすさを確認しましょう。
6歳で選びやすい3冊の比較
| 商品 | 対象年齢表記 | 人数・形式 | 遊び方・読み方 | 競争/協力の扱い | 親の関わり |
|---|---|---|---|---|---|
| ラチとらいおん(福音館書店) | 未確認 | 読み聞かせ・紙の本 | 一緒に読み、気になる場面を眺める | 勝敗より、小さなライオンと過ごす物語 | 「どの場面が気になった?」程度に留める |
| かっても まけても いいんだよ ガストンのソーシャルスキルえほん(Kindle版) | 4歳〜 | 読み聞かせ・Kindle版 | 勝ち負けの場面を日常の遊びとゆるく結びつける | 勝っても負けても大丈夫というテーマ | 感想を求めず、気持ちを受け止める |
| きもちのくも(Kindle版・こどもの時間舎) | 3〜7歳くらい | 読み聞かせ・Kindle版 | 気持ちを「くも」にたとえて話す | 競争を中心にしない感情絵本 | 気持ちの変化を急がせない |
挑戦する気持ちに寄り添う一冊
ラチとらいおん(福音館書店)
合いやすい場面は、新しい遊びや習い事、園・学校での活動を前に「できないかもしれない」と不安そうなときです。読む際は、勇気のある場面だけを強調せず、ラチの表情やライオンとの関係にも目を向けてみましょう。
遊び方としては、読み終えたあとに「自分のそばに小さな応援団がいたら、どんな名前にする?」と絵に描く方法があります。描きたくなければ、ぬいぐるみを一つ「応援役」にするだけでも構いません。
良い点は、強さを大きな成功だけでなく、日々の変化として眺めやすいところです。一方で、「ラチみたいに強くなりなさい」と励ます読み方は、子どもにとって負担になることがあります。対象年齢のメーカー表記は確認できていないため、絵や文章への反応を見ながら選びましょう。
勝ち負けがつらいときに読む一冊
かっても まけても いいんだよ ガストンのソーシャルスキルえほん(Kindle版)
合いやすい場面は、カードゲームやかけっこで負けると遊びを終えたくなる、友だちとの勝負を避けたがるといったときです。ただし、読んだからすぐに負けを受け入れられるようになる、と考える必要はありません。「負けて嫌だった」という気持ちを否定しない土台として使います。
遊び方は、読後に勝敗のつかない遊びをはさむことです。たとえば、親子で一枚の紙に絵を描き足したり、同じ積み木を一緒に高く積んだりします。そのあとで、短い勝負遊びをするなら、始める前に「途中でやめてもいい」「もう一回はしなくてもいい」と約束しておく方法があります。
良い点は、勝敗がある場面で感じやすい気持ちをテーマとして取り上げやすいことです。Kindle版のため、端末で読むことが負担にならないかも確認しましょう。読み聞かせ後に感想を聞き出さなくても大丈夫です。
言葉にならない不安を眺める一冊
きもちのくも(Kindle版・こどもの時間舎)
合いやすい場面は、「失敗したくない」と言う代わりに黙り込む、怒る、別の話に変えるなど、気持ちを説明することが難しそうなときです。失敗そのものを直接話題にしなくても読めるため、抵抗がある子にも選択肢になります。
遊び方は、「いまの気持ちは、どんなくもかな」と尋ねることです。「黒いくも」「小さいくも」「答えたくないくも」など、どんな表現でも受け止めます。子どもが答えない場合は、大人が「お母さんは、急いでいるときはバタバタしたくもかも」と自分の気持ちを短く話すだけでもよいでしょう。
良い点は、失敗への怖さを「直すべきもの」とせず、一時的にある気持ちとして扱いやすいところです。レビューがまだない新しい絵本とされているため、購入前に立ち読みで絵や文章の雰囲気を確認してください。
声かけ例と、うまくいかないときの調整
読み聞かせや遊びのなかでは、評価よりも観察を言葉にすると、会話を始めやすくなります。
- 「失敗しそうで、どきどきしたんだね」
- 「やめたくなったんだね。ここで休んでもいいよ」
- 「勝ちたかったんだね。それだけ大事な遊びだったんだね」
- 「もう一回するかは、あとで決めよう」
- 「できたところを一緒に探す? 今は探さなくてもいいよ」
子どもが本を拒む、話題を変える、怒る場合は、その本が合わない日かもしれません。最後まで読まずに閉じる、数日空ける、読み聞かせではなく大人だけが先に読む、といった調整ができます。「失敗について話そう」と目的を前面に出さず、寝る前の短い時間や、安心しているときに絵を眺めるだけでも十分です。
向く家庭・向きにくい場面
これらの絵本は、親子で気持ちを話すきっかけがほしい家庭、勝敗や挑戦をめぐる会話を穏やかに始めたい家庭に向きます。毎日読み切る必要はなく、子どもが選んだ一冊を繰り返す読み方にも合います。
一方、子どもが強く動揺している最中に、落ち着かせる目的で読み聞かせを求めるのは向きにくい場合があります。そのときは安全を確保し、休む、水を飲む、そばにいるなどを優先しましょう。園や学校での困りごとが続き、生活に負担が大きいと感じるときは、担任、園の先生、学校の相談窓口などに状況を共有することも選択肢です。

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