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「間違えたくない」と泣いたり、できそうにない遊びを最初から避けたりする姿を見ると、保護者は心配になります。「励ましたいのに、がんばってと言うほど固まってしまう」「園では大丈夫なのかな」「私の関わり方がよくないのかも」と、疲れや迷いを抱えることもあるでしょう。
けれど、失敗を怖がることは、子どもが真剣に取り組みたい、できるようになりたいと思っている表れでもあります。5歳は、周りと比べたり、自分でできた・できなかったを意識したりする場面が増えやすい時期です。親子のどちらかを責める必要はありません。
絵本は、失敗を「直すべき問題」として急いで扱うのではなく、登場人物の気持ちを借りて眺められる時間をつくります。子どもに教え込むためではなく、「怖いと思うこともあるよね」と安心して話せる入り口として選びましょう。
5歳で絵本を選ぶときのポイント
失敗への不安が強いときは、「失敗しても平気」と結論を急ぐ本より、まず気持ちに寄り添える本が合う場合があります。選ぶときは、次の点を目安にします。
- 子どもの今の困りごとに近すぎないテーマも選ぶ
工作で失敗することが苦手なら、勝ち負けや冒険など別の物語から入ると、身構えずに楽しめることがあります。
- 読後に答えを求めない
「どう思った?」「あなたも同じ?」と質問を重ねなくても大丈夫です。絵を見る、好きな場面を言うだけでも十分です。
- 短く終えられる形を用意する
就寝前や気持ちが落ち着いている時間に、途中まで読む選択肢も残します。
- 子どもが選べる余地をつくる
「今日はライオンのお話と、発明のお話のどっちにする?」のように、読む本や座る場所を選べると安心につながることがあります。
「失敗」を直接教えすぎない3冊
ラチとらいおん(福音館書店)
合いやすい場面は、「できない」と言って挑戦の前に止まりやすいときです。失敗そのものを話題にするよりも、怖さを抱えながら進む主人公の姿に触れたい家庭に向きます。
遊び方は、読後にライオンを指して「この子がそばにいたら、何をしてみたい?」と想像する程度で十分です。ぬいぐるみや紙で「応援ライオン」を作り、難しいことに取り組む前にそばへ置く遊びもできます。
良い点は、子どもを「弱虫」と決めつけず、物語のなかで勇気や変化を眺められることです。
注意点は、「ラチみたいに強くなりなさい」と励ます材料にしないこと。子どもが怖がっている日は、勇気を求めず「今日は読めたね」で終えてかまいません。
かっても まけても いいんだよ ガストンのソーシャルスキルえほん(Kindle版)
合いやすい場面は、じゃんけん、すごろく、かけっこなどで負けることを強く嫌がり、遊びそのものが苦しくなりやすいときです。
遊び方は、読み聞かせのあとに勝敗のない遊びを一つ入れる方法があります。たとえば親子で同じ絵を探す、ブロックを一緒に高く積むなど、「一緒にできた」を味わえる遊びです。勝負をする場合も、最初は保護者が勝ち負けを淡々と受け止める姿を見せます。
良い点は、勝つ・負ける場面で起こりやすい気持ちを、家庭で話すきっかけにできることです。
注意点は、Kindle版であることです。また、読み聞かせ後に感想を無理に聞き出す必要はありません。「負けるのはいやだよね」と保護者が短く言うだけでもよいでしょう。
しっぱいは せいこうの はじまり(Kindle版)
合いやすい場面は、絵や工作、文字、着替えなどで「きれいにできないならやらない」となりやすいときです。作ることが好きな子、発明や試行錯誤に興味がある子にも取り入れやすいでしょう。
遊び方は、読み終えたあとに「へんてこ発明」を親子で描くことです。完成度は求めず、丸や線だけでもかまいません。「ここはうまくいかなかったね」ではなく、「次はどう変えてみる?」と、試すことに目を向けます。
良い点は、失敗を繰り返す主人公を通して、挑戦の途中にある気持ちを話題にしやすい点です。
注意点は、レビュー件数が少ない新しい絵本であり、内容は商品説明にもとづくことです。購入前に立ち読みで絵や言葉の雰囲気を確認しましょう。
3冊の比較と選び分け
| 絵本 | 対象年齢の案内 | 読み方・人数 | 遊び方 | 競争/協力の切り口 | 親の関わり |
|---|---|---|---|---|---|
| ラチとらいおん(福音館書店) | 未確認 | 読み聞かせ | 応援してくれる存在を想像する | 競争より、怖さと勇気 | 「強くなって」ではなく気持ちを受け止める |
| かっても まけても いいんだよ ガストンのソーシャルスキルえほん(Kindle版) | 4歳〜 | 読み聞かせ | 勝敗のない共同遊びにつなげる | 勝ち負け | 負けた気持ちを急いで切り替えさせない |
| しっぱいは せいこうの はじまり(Kindle版) | 幼児〜 | 読み聞かせ | へんてこ発明・お絵描き | 試行錯誤と挑戦 | 結果より「試したこと」に注目する |
勝ち負けへのつらさが目立つなら
家庭で試しやすい関わり方
読み聞かせで使える声かけ例
絵本の途中や読後は、子どもに答えを求めすぎない短い言葉がおすすめです。
- 「うまくいかないと、がっかりすることあるよね」
- 「この子、もう一回考えているね」
- 「負けたくなかったんだね」
- 「今日はここまででもいいよ」
- 「見ているだけでも、一緒に読んでいるよ」
- 「次にするか、今日はやめるか、どっちでも大丈夫」
子どもが「ぼくは失敗してない」「この子は変」と話したときも、訂正しなくてかまいません。「そう見えたんだね」と受け止めると、その子なりの感じ方を守れます。
うまくいかないときの調整と、向く家庭
絵本を読んでも「失敗」という言葉だけで嫌がる場合は、テーマを離れましょう。
これらの絵本は、保護者が子どものペースを待てる家庭、遊びや日常会話に少しずつつなげたい家庭に向いています。一方で、子どもが物語の問題を自分への指摘だと受け取りやすいとき、疲れ・空腹・眠気が強いとき、直後に大きく感情が乱れたときは、読み聞かせを使わないほうがよい場面もあります。
失敗を怖がる姿が長く続き、園生活や日常の楽しさが大きく損なわれていると感じる場合は、家庭だけで抱え込まず、園の先生や地域の子育て相談窓口などに状況を共有する方法もあります。

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